2002-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『カップルズ』佐藤正午著(集英社文庫)

う〜ん、やっぱり面白い。これは、自分がふとしたきっかけで聞くことになった他人の話、というような形態をとったオムニバスのような短編集だ。ところで“オムニバス”って何だろうと不思議に思ったので辞書をひいてみたら、“乗合バス”っていうような意味があ…

『東電OL症候群』佐野眞一著(新潮社)

前作『東電OL殺人事件』から二年ほどになるでしょうか。色々な面で目を離せない事件なのですが、僕自身の中で、どうしても心の中の引っ掛かりとして理解できないのが、亡くなってしまったこのOLを、そうした行動に駆り立てた心の中の闇です。その後の経…

『ギター弾きの恋』(ビデオ)

ビデオでの鑑賞。ウディ・アレンは比較的好き嫌いの好みがはっきりでる映画作家ではないか。僕はわりと昔からのファンだけれど、その話をすると、だいたいは好きか嫌いかのはっきりとした反応があるように感じる。この『ギター弾きの恋』は、語り口・作風や…

『彦馬がいく』(PARCO劇場)

今年初めてのお芝居は三谷幸喜さんの『彦馬がいく』でした。東京サンシャインボーイズの頃の作品ですが、劇団での上演当時はあまり興味をもっていなかったので、今回初めて見ました。いくつか見てきましたが、感じるのは三谷さんの芝居というのは、サービス…

『縁切り神社』田口ランディ著(幻冬社文庫)

昨年、文庫になったばかりの『コンセント』に夢中になってしまったのだが、この『縁切り神社』もとてもいい。短編集なのだが、とても構成がしっかりしていて、一つひとつの話がとってもよく出来ている。それぞれの主人公の心理描写が巧みで、どれをとっても…

『翼はいつまでも』川上 健一著(集英社)

ぼくにとっては、はじめて手にとった作家だが、読み始めたら止まらずに、一気に最後までいってしまった。東北十和田の中学校を舞台にした、青春小説というよりも少年少女小説といった趣きのとてもピュアな物語りだ。読み始めた時は、中学生を描いた小説では…

『シーズン・チケット』

主人公の2人の少年が、自分たちがファンであるサッカーチームのシーズンチケットを手に入れようと、奮闘するというストーリー。奮闘といっても、子守りからゴミ回収、万引きから銀行強盗まで、とにかくあらゆることを思いつくままにやっていくのだが、でこ…

『官僚組織の病理学』草野 厚著(ちくま新書)

新書ブームがけっこう続いている。話題になる本も多いし、新書シリーズの創刊も続いている。ちょっとした知的好奇心というのを満たすのにちょうどいいレベル(サイズ)なのかっていう気もする。別に意識してこういうカタい本を取り上げているわけではないで…

『ぼろぼろ三銃士』永倉萬治著(実業之日本社)

一昨年亡くなった永倉萬治さんの没後出版された遺作のひとつ。未完の作品を奥さんが書き継いで完成させたということで新聞の図書欄などでも取り上げられていた作品である。わりとマイナーな作家だったが、その作品の雰囲気が好きで、かなり前からのファンな…

『13days』(ビデオ)

ビデオでの鑑賞。ケネディ大統領の時代のキューバ危機の13日間を描いたもの。アメリカ映画にしては、地味な演出だったが2時間半あまりの長丁場も飽きずに見られた。キューバ危機と言っても、実際はアメリカとソビエトの対立がキューバという国において展…