2003-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『感情教育』中山可穂著(講談社文庫)

といわけで、引き続き中山可穂さんの小説です。やはりこちらもレズビアンという関係における恋愛を描いた小説です。多分に自伝的な匂いが漂う小説なのですが、どこまでがフィクションかどうかというようなことをあまり気にするのはヤボなのでしょう。三部構…

『白い薔薇の淵まで』中山可穂著(集英社文庫)

初めて読む作家である。そして読み始めるまで、フツーの恋愛小説と思っていた。まあ、フツーではないのかと言うと、女同士の恋愛であるというところがちょっとだけフツーでないくらいで、やっぱりあくまで恋愛小説なのであった。途中で、それでこのタイトル…

『きみは誤解している』佐藤正午著(集英社文庫)

文庫化されていない未読の3冊のうちの一冊がようやく文庫化されたので、さっそく読んでみました。 本を読むときにあとがきから読むという人がけっこういます。僕の場合は、ちらっとあとがきの内容を見て、先に読んでもだいじょうぶかどうかを判断して、その…

『萩家の三姉妹』 二兎社公演(世田谷パブリック・シアター)

このところすっかりお気に入りになった永井愛さん脚本の芝居でした。再演になりますが、僕自身は初めて見る舞台。とにかく実によく出来た面白い芝居です。 3姉妹の男女関係(恋愛)を中心に進む物語ですが、3人それぞれの恋愛が、まったく違った立場でのも…

『ミッドナイト・コール』田口ランディ著(PHP文庫)

働きざかりの20代から30代の女性を主人公とした短編小説集である。意図してのことだろうけれど、どこにでも居そうな、極く普通の人間を主人公とした物語だ。そしてそんなどこにでも居そうな女性の、どこにでもありそうなお話が、とってもよく出来ている…

『万治クン』永倉有子著(集英社)

永倉万治さんが亡くなって3年になる。こういう本が出るとは知らず、たまたま書店でタイトルを見て、“おお!”と驚き、即買ってしまいました。永倉さんが書いていた小説は、もちろんフィクションではあるけれど、どことなくその主人公の雰囲気がきっと作者自…

『姫椿』浅田次郎著(文春文庫)

ファンタジーに属する短編を集めたものと言えるだろうか。といっても、ファンタジーとなる部分はお話の中では、仕掛けに過ぎないので、ファンタジーとして読んだ感覚というよりは、普通の短編小説を読んだ感覚に近いものがある。 うまさは相変わらず。

『草にすわる』白石一文著(光文社)

『草にすわる』と『砂の城』という二編の中篇からなる小説集。1958年生まれというから、一年違いの同世代の作家でもある。デビュー作の『一瞬の光』から、どれもずっと読みつづけている(といっても、これで5冊目だったかな)が、一貫して感じられる、…