2004-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『桶川ストーカー殺人事件 −遺言− 』清水 潔著(新潮文庫)

事件が起きたのが1999年10月のこと。もう4年以上の歳月が流れたことになる。週刊誌や夕刊紙など、こうした事件を大きめに扱うメディアにはまったく目を通していなかったので、とある女子大生が元交際相手にストーカー行為をされ殺されてしまったこと…

『時の物置』永井愛脚本(世田谷パブリック・シアター)

最近では最も楽しみにしている、といってもいい永井愛脚本の芝居。これも再演ということになるのだそうだけれど、僕自身は今回初めて見ました。昭和30年代の中ごろを舞台に、とある家族の生活を描いたものです。士族の出である母親、教師をしつつ文学を志…

『萩の雨』連城三紀彦著(講談社文庫)

6つの短編からなる短編集。いずれもテーマは旅路と恋愛。場所も、萩、柳川、会津、盛岡、北京、輪島とあちこちにとびます。その場所の風情を背景にしながら、旅路にあるほんのひとときの男と女の物語が作られているのですが、どの短編も程よく後をひく余韻…

『ロスト・イン・トランスレーション』(新宿武蔵野館)

映画館で映画を見るのは、どれくらいぶりだろうか。この映画のことは、あちこちで断片的に情報があって、見てみたいと思っていた。雨の日曜日、新宿武蔵野館のモーニング・ショーはわりと年齢層も高い感じで、ひっそりとした雰囲気。映画はというと、強いメ…

『個人教授』佐藤正午著(角川文庫)

再読ですが、なんだか最初と随分印象が違ったように思います。最初に読んだときは、ちょっと軽めの文章のタッチやコミカルでユーモラスな印象を強く持ったのだけれど、改めて読んで見ると、なんだか切ないセンチメンタルな青春小説という印象でした。どうし…