2002-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『日本経済の罠』小林慶一郎・加藤創太著(日本経済新聞社)

久しぶりに真面目に頭を使う本で、ちょっとくたびれたけど、とっても面白かった。実際の経済で起きている状況や現象を解き明かしていくことは、ある意味推理小説の謎解きのような面白さがある。 本書は中でも述べられているけれど、まったくオリジナルで革新…

『赤線跡を歩く』木村聡著(ちくま文庫)

文庫本とはいっても写真集の趣き。各地にあった赤線(公娼)跡をたどり、そこに残されている(あるいは近年まで残されていた)建物などの写真と短い文章を綴ってある。僕が生まれた一年前、昭和33年に売春防止法が施行され、すでに赤線がなくなってから4…

『ダックスフントのワープ』藤原伊織著(文春文庫)

時々インターネットで見るページで、ちょっとしたコミュニティ・サイトっぽいOKWebというホームページがある。会員になってわからないことや知りたいことを質問すると、同じ会員の中で知っている人が答えを書き込んでくれるというニフティのフォーラムみたい…

『この三十年の日本人』児玉隆也著(新潮文庫)

たぶんもう絶版となっていると思うけれど、この本は僕にとってノンフィクションというジャンルに目を開かせてくれた本である。最初に読んだのはまだ僕が二十代の頃だったろう。感動した本だったので、たぶん誰かにあげてしまったようで、いつの間にか本棚か…

『理由はいらない』藤田宜永著(新潮文庫)

直木賞をとった『愛の領分』をはじめて読んでから、何冊か読んでいるけれど、今どき“大衆小説”という雰囲気を感じる作家だなあと思う。この作品もいかにもそんな感じが出ている。やくざの家に生まれ私立探偵となった主人公が関わる事件をひとつずつ短編にま…

『軽いめまい』金井美恵子著(講談社文庫)

どこかの書評で、熱烈金井美恵子ファンの文章を読んだのをきっかけに初めて手にとる。 でも、ごめん。ボクにはよくわからん、どこがいいのか。小説にはストーリーとスタイルがあるものだ。もちろんこの小説にもある、すごい饒舌体のスタイル(文体)が。でも…

『女について』佐藤正午著(光文社文庫)

三冊続いてしまいました、佐藤正午さん。これは講談社で『恋売ります』というタイトルで発売されていたものの改題。 8つの短編が収録されている本ですが、いずれもちょっと軟派な(?)雰囲気のある、女性にまつわる物語。プロフィールのページにも書いてい…