2002-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『海辺のカフカ』村上春樹著(新潮社)

読み終えてみると、前二作『ねじまき鳥クロニクル』と『スプートニクの恋人』の雰囲気がよみがえってくる。テーマ的にも、この二作に共通するものをさらに突き詰めたものかなと思える。 デビュー当時から、この人の文体の特徴のひとつには“比喩”があるのだけ…

パット・メセニー Speaking of Now Tour(NHKホール)

僕にとっては、いつどこでコンサートがあっても聴きに行きたいと思う人の一人。最初の出会いは、曲も何にも知らずにただジャケットに惹かれて買ったLP(まだレコードの時代)の“offRamp”。それ以来ずっと聴き続けて、ずっとコンサートにも通いつづけている…

『僕のなかの壊れていない部分』白石一文著(光文社)

単行本の新刊は久しぶりかな。9月も半ばだがこれが二冊目。実は『ビコーズ』をもう一度読んでいた。 特に何かの賞を取ったりしていないし、まだあんまり脚光を浴びていないように思うのだけれど、僕はとても好きな作家の一人。『一瞬の光』からこれでまだ4…

『藤堂志津子恋愛小説傑作選』藤堂志津子著(角川文庫)

しかし、本のタイトルというのは誰がつけるのか、そんなことを考えてしまった。いくら名の通った作家でも、自分の本に“傑作選”とつけるのは、恥ずかしいものじゃないのかなあと思ったわけです。恐らくは担当編集者が“これでいきましょう!”なんていうのに押…