2003-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『暗夜』志水辰夫著(新潮文庫)

ミステリー、ハードボイルド系の作家の中では好きな人の一人。ここ何年かでは恋愛モノなど、作品の幅が広がってきているけれど、やっぱり何と言っても男っぽいミステリーがいい。 この作品は、ストーリーの上で、説明っぽい文章を極力排除した感があり、その…

『心では重すぎる』大沢在昌箸(光文社ノベルズ)

新宿鮫と並ぶ、著者の人気シリーズの最新作。といっても単行本は2000年発売。 僕がミステリー系の本を読むようになったひとつのきっかけは、この人の直木賞受賞作『新宿鮫−無間人形−』を読んだことだったと思う。知名度や人気の上では、やはり鮫島シリーズが…

『ニンゲン御破算』松尾スズキ作・演出(シアター・コクーン)

中村勘九郎を迎え、大人計画のメンバーもほぼ総動員して、今までよりも、スケールの大きな芝居を見せてくれた。雰囲気は松尾ワールドそのものだけど、舞台背景を江戸時代あたりの設定としている分だけ、いつもの毒気が多少カモフラージュされたように思えた…

『走れメロス』太宰治著(新潮文庫)

今時の国語の教科書に『走れメロス』は載っているのだろうか。 改めて読み直したこの本には、『走れメロス』の他『ダス・ゲマイネ』、『富嶽百景』、『満願』、『女生徒』、『帰去来』など、九編の短編が集められている。今回は長部日出雄氏による伝記から興…

『はなかげ』藤田宜永箸(集英社文庫)

花をキーワード(あるいは材料に扱ったといったほうがいいかな)にした7編の短編集。この人は他にも主人公の職業や趣味などに植物を扱う題材を描いているけれど、この短編集は、いかにも花を素材にあしらった小説、という雰囲気がある。そして、もうひとつ…

『私の絵日記』藤原マキ著(学研M文庫)

つげ義春さんの漫画・旅のエッセイが好きということは先日書いたけれど、これはつげ義春氏の奥さん藤原マキさんの絵日記。1999年に亡くなられたそうなのだが、ここには1982年に出版された絵日記から、1991年頃までに書かれた絵や文章がまとめられている。つ…