2003-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『モンスーン・ウェディング』(2001年インド)(ビデオ)

いわゆるインドの娯楽映画というジャンルについて、全く未知であるので、唄って踊ってというお楽しみ付きの映画の中で、この映画がどの程度オーソドックスなものなのかが判りません。しかし、初めて見た感想としては、もっと様式的なインド映画というパター…

『蕎麦屋の恋』姫野カオルコ著(イースト・プレス)

最近作の『ツイラク』が、あちこちでとてもよい評判なので、ちょっと関心を持った作家である。短編集として刊行されたのは新しいが、収録されている作品は比較的古いもののようだ。5つの短編による短編集だが、タイトルにもなっている『蕎麦屋の恋』という…

『ぐろぐろ』松沢呉一著(ちくま文庫)

先日のレビューに書いた、松沢氏の今月の新刊の一冊。といっても、もちろん書き下ろしでもなければ、ずい分古いもので、『Burrn!』というロック系の雑誌に連載されていたエッセイを中心にまとめたもの。本人も書いてはいるのだが、音楽とはまったく関係もな…

『紫の領分』藤沢周著(講談社)

以前からちょっと気にはなっていた作家だったが、これが始めて読む作品。正直言って、ちょっと読みづらいタイプの小説だった。内容、文体、感覚、どれもちょっと引っ掛かる感じがある。そういう主人公を描いたということで意図したものなのかもしれないし、…

『チョコレート』2002年(米)(ビデオ)

2002年のアカデミー賞で、ハル・ベリーが最優秀主演女優賞をとった作品。 簡単に書くと、死刑囚の妻と、死刑を執行する側である看守の男が偶然知り合い恋愛関係になる、という話なのだが、内容的にもかなりシリアスな作品である。演出は控えめで描写も淡…

『昨晩お会いしましょう』田口ランディ著(幻冬社)

5つの短編からなる短編集。最初の4編はどれもセックスの描写がかなりのウェイトを占めていて、しかも激しい。ここまで書くか、という感じを持ったし、フィクションであれノンフィクションであれ、例えばもしもこういう文章を日記サイトにでも書いたら、即…

『風街』白石文郎著(角川書店)

先日、作家の白石一文氏のことをネットで調べていたら、双子の弟が作家であるということ(この白石文郎氏)。父親も同じく作家(白石一郎氏)であったということを知った。兄弟で同じ出版社の就職試験を受け、ふたりとも最終面接まで残り、それなら弟を、そ…

『MAGNET』山田詠美著(幻冬社)

随分久しぶりに山田詠美を読んだ気がする。久しぶりに読んで、あらためてスゴいなあ、 と思う。9つの短編からなる作品集なのだが、まず最初の『熱いジャズの焼き菓子』という短編を読んで、その内容にも描写にも圧倒される。 真実と嘘、正義と欺瞞、愛情と…

『小説の秘密をめぐる12章』富岡多恵子著(文藝春秋)

小説を書きたい(あるいは書きたいと思っている)人に向けた、小説指南ともいえる本だろう。小説の秘密というものを知る面白さもある。例として取り上げられている作家が、多少古いのではないかな、という感じもしないではないのだけれど、その秘密は古い・…