2002-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『オレンジの壷』宮本輝著(光文社文庫)

冒頭は恋愛小説かな、という雰囲気。ちょっと読み進むと家族や家系の要素も出てくる。そして下巻に入ってくるとミステリータッチでもあり、戦前戦後の歴史も絡んでくるという、盛りだくさんな小説。 文庫とはいえ、新刊だったのでわりと新しい小説だと思って…

『永遠の仔』天童荒太著(幻冬社)

一応読みきった。感想を書くのはちょっと気が重い。こういうのは書かなければいいのかもしれないけれど、とりあえず一人の読者として僕が感じたことは書いておきたい。 まずは、すごくたくさん売れたらしいし、“スゴい”とか“傑作”という感想も沢山読んだけれ…

『オール・アバウト・マイ・マザー』(ビデオ)

スペインの映画で、2000年のアカデミー賞外国映画賞の作品。けっこう目まぐるしく展開するストーリーで、しかもそれがかなり盛り沢山な人間関係の中で起こるので、劇画っぽいなあ、と思ったりした。うまく理解してもらえるかどうかわからないが、昔売春…

『OUT』桐野夏生著(講談社文庫)

下巻にはいるあたりから、一気にストーリーが大きく展開し、筋を追うオモシロさとともに、ヒロインである雅子の孤高なまでの強さを持った精神に感銘のようなものを受ける。実はこの作品より後に書かれた『柔らかな頬』を先に読んでいるのだが、そこで感じた…

『キヤノン特許部隊』丸島儀一著(光文社新書)

まずは“著者:丸島儀一”ということについて、出版社である光文社に言いたい。「違うでしょ!」どうしてこの本の著者が丸島儀一氏なわけ? 読んでもらえば誰にでもわかるけれど、ちゃんと(取材・執筆・構成 福井信彦)と記してある。文章もその通り、丸島氏…

『ワンダーボーイズ』(ビデオ)

何のスペクタクルもないけれど、面白い映画は面白い。全然目立たなく公開され、終わってしまったようだけど、映画が好きっていう人はビデオで見ると楽しめる映画だと思う。処女作の評価だけで大学教授となり暮らしをたてているうだつのあがらない作家が、女…

『アメリカ・ライフル協会を撃て』ピート・ハミル著(集英社)

週刊プレイボーイに連載(転載)していたエッセイをひとまとめにして単行本化したもの。1991年から93年にかけて書かれたものなので、丁度10年あまりを経過したものということになる。『ロス・アンゼルス暴動』、『マドンナの写真集』、『映画マルコムX』な…

『リボルバー』佐藤正午著(集英社)

いよいよこれで佐藤氏の小説全制覇か、と思っていたのだが、もう一冊『王様の結婚』というのがあった。この作品は著者の3作目、1985年の小説。面白さとしてはイマイチだったかなあ。何となくだが、書いている時のノリもちょっと足りない感じがする。会…