2004-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『ファントム・ペイン』鴻上尚史著(白水社)

2001年の9月に公演された、第三舞台の10年封印前の最後の作品の戯曲。 この舞台は、勿論見ていたが、ホームページを始める少し前であったので、実際に感想文を書いてはいたもののレビューに掲載することはなかった。パソコンの古いデータから探し出し…

『猫背の王子』中山可穂著(集英社文庫)

1993年に刊行された著者のデビュー作。一度絶版になっていたところを2000年に文庫化されたものらしい。既に2作品を読んでいるのだけれど、この小説は勢いで書いたようなパワー、エネルギーに圧倒される感じ。 自伝的ということでは必ずしもないよう…

『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午著(文藝春秋)

タイトルから想像するに、もうちょっとロマンティックな雰囲気を考えていたのだけれど、その期待はちょっと裏切られます。どっちかというと、完全にエンタテイメント寄りの現代ミステリーという感じの小説でした。 ミステリー系でもあるし内容について書くの…

『玉蘭』桐野夏生著(朝日新聞社)

作品の順序としては、『光源』と『ダーク』の間にくる作品である。 作者自身の失踪した大伯父をモチーフにして、様々な時間の中でいくつかの物語が進行するという、少々複雑な構造をもった小説と言えるかもしれない。一章ごとに異なる主人公(視点)、そして…

『銭湯の女神』星野博美著(文春文庫)

エッセイらしいエッセイと言えるだろう。初めて読んだ著者だけれど、年齢の割にとってもまっとうな意見を述べているエッセイだと思った。 今の世の中、色々なことが多様化してきて、いわゆる“普通”の感覚というものが明確でなくなってきているようなところが…

『邪恋』藤田宜永著(毎日新聞社)

直木賞受賞第一作とのこと。う〜む、なんと言ったらいいのでしょうか。とことん書き尽くしたという感があります。大人の、そして既婚者の恋愛について・・・。 いわゆる不倫小説ってヤツは、モラル的には社会的なルールを逸脱しているわけですが、恋愛という…

『ケス』(1969年英)(ビデオ)

どこかで見てみたいと思っていた映画なのだけれど、たまたまいつも行くTSUTAYAで見つけることが出来た。こんな地味な映画もレンタルにあるとは嬉しい限り。とにかく地味で素朴で、ドキュメンタリーのような印象すら受けるほどだ。しかし、見終わってから思い…