2003-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『ルームメイト』村田喜代子著(文芸春秋)

先日読んだ佐藤正午氏の『ありのすさび』の中で取り上げられていた本。そう書かれてしまっては読まないわけにはいかないでしょうという内容であったのだ。ちょっと引用してみましょう。『村田喜代子のその小説「ルームメイト」を読んだときには本当に悔しく…

『ハルディン・ホテル』ナイロン100℃(本多劇場)

以前から興味があったのだが、今回始めて見たナイロン100℃という劇団。客層はというと、なかなか微妙ですが、最近見ていた色々な芝居と比較してみると結構若いなあ、というカンジだった。初めてなわりには“おやくそく”みたいなもの(あるいは雰囲気)が、あ…

『ありのすさび』佐藤正午著(岩波書店)

あとがきの中で、前のエッセイからは百万年たってしまった、と著者が書いている通り、それだけの時を感じるような印象の違いはある。佐藤正午という作家の変化というよりも、物事を見る目とか、それを捉える心のありよう、あるいはそれを表現するときの穏や…

『チャイ・コイ』岩井志麻子著(中央公論社)

そのストレートさに圧倒されるような官能・ポルノ小説とでも言おうか。ベトナムのレストランで、突然興味を持った給仕の男性を愛人にしてしまうという展開なのだが、ちょっと興味を持って調べて見るとかなりノンフィクションなお話のようなのですね。本人自…

『光源』桐野夏生著(文春文庫)

この人の本にしては、さほど話題にならなかった小説なので、まったく予備知識もなく読み始めた。しかし、読んでみて改めて思うのは、やはり本来小説というのは、そんなふうに、読むべきものなのだなあという感想である。 小説の舞台は映画製作の現場だ。冒頭…

『熟女の旅』松沢呉一著(ポット出版)

なんだかな、というタイトルですが、最近お気に入りの松沢呉一氏の1999年出版の著作。この人の本、どれを読んでも面白いです。 ところで"熟女"というのはパソコンで変換しても出てきません。それなりに聞く言葉のような気はするのですが、未だ世間一般に…

『ベトナム現代短編集Ⅰ』アジアの現代文芸シリーズ((財)大同生命国際文化基金)

8人のベトナム人作家による各1編ずつを集めた短編集である。先日読んだ『虚構の楽園』という長編がなかなかよい小説だったので、日本語に翻訳されているものは数えるほどしかないベトナムの小説なので、この際、手に入る限り読んで見ようと思ったのだが、…

『夢の泪』井上ひさし作(新国立劇場)

いつかは見てみたいと思っていた、井上ひさし作の舞台をはじめて見た。東京裁判をテーマにした3部作の構想というのがあるらしく、これはその第二作目にあたるものらしい。テーマはけっこう重たいものの、芝居の雰囲気はミュージカル仕立てのなかなかテンポ…