2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『リンダ・リンダ』KOKAMI@network Vol.6(シアター・アップル)

弾けるように活きのよい、テンポのある芝居だった。ミュージカルというよりは音楽劇という印象だ。全編ブルー・ハーツの曲をフィーチャーし、おハナシの展開と曲をミックスさせたところもよく出来ているし、どちからかというと、希望は残しつつもスッキリと…

『クラシックカメラ十二ヵ月』高斎正著(ゼスト)

何気なく図書館で手にとった本なのだけれど、てっきりエッセイだろうと思ったら小説だった。各月ごとに一台のカメラをモチーフにして作られた短編集である。登場人物がどんな人で何をしようと、ストーリーがどんなだろうと、実質的には主人公が“カメラ”であ…

『Asian Japanese1』小林紀晴著(新潮文庫)

先日『写真学生』を読んだ小林紀晴さんの写真と文章によるノンフィクション。いつも思ってしまうのだが、写真が撮れて、文章が書ける人は本当に羨ましいなあと思う。この本は写真のウェイトと文章のウェイトを比較すると、圧倒的に文章のウェイトのほうが大…

『海辺の小さな町』宮城谷昌光著(文春文庫)

先日紹介したカメラマンを主人公にした小説のひとつ。この前の『写真学生』と設定は似ていて、写真の専門学校ではないけれど、大学に入学した主人公がその入学祝に父親から送られたカメラで写真を撮り始めるという物語だ。歴史物(中国)で名を成した作家だ…

『イケニエの人』大人計画(世田谷パブリックシアター)

松尾さん自身、大人計画の劇団公演としては久しぶりの舞台(新作)ではなかったかな? かなり期待していただけに、今回は見終わったあと、う〜む、これはいったいどうしたのだ、という感想である。面白くなかったわけではないんだけれど、色んなモノが収まり…

『ア・ルース・ボーイ』佐伯一麦著(新潮文庫)

先日読んだ『一輪』の後に書かれた作品。何となく自分の中にある記憶では、このカタカタタイトルの小説ををトレンディっぽい感じの小説なのではないか、と、当時誤解していたように思う。今回読んでみると、まったくそういう印象と正反対のかなり骨太な感じ…

『写真学生』小林紀晴著(集英社文庫)

先日日記のほうに書いた、カメラマンが主人公の小説ということで、まず最初に書店で見つけたこの本から読み始めてみました。カメラマンが主人公というより、この本の場合は、カメラマンである著者が、自分の写真の専門学校時代のことを(私)小説的に書いた…

『一輪』佐伯一麦著(福武書店)

『一輪』、『ポートレート』という二つの中編からなる一冊。どちらも中編というよりも短編に近い印象もある。著者にとっては1990年に発表された、比較的初期の作品ということになるのだろう。先日読んでいた二冊よりかなり遡り、著者が東京で電気工事の…

『花伽藍』中山可穂著(新潮文庫)

5編の短編による短編集です。 今まで何冊か読んだ著者の小説の印象として、上手い作家ではないけれど、一気に読ませる不思議な魅力がある、というようなものを感じていました。説明し難いけれど、それがこの人らしいところで魅力なのだろうとも思っていまし…