2002-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『男』柳 美里著(新潮文庫)

書店でパラパラっとめくって見て、かなりエッチっぽいな、と思ったのだけど、読んでみるとなんか妙に切なくなるようなところが多くて、それはそれで後味としては満足度の高い本でした。 肉体の色々なパーツ(声とかもあるので必ずしも的確な表現ではないけど…

『艶紅(ひかりべに)』藤田宜永著(文藝春秋社)

ブックオフの100円本で、しかもサイン本、しかも読んだらとってもいい本だったという申し訳ないくらいお得な本でした。 京都を舞台にした蹄鉄師(ここでは競馬馬の蹄を打つ)の男と、祇園の料亭の娘で、そこを飛び出して染色・織物の世界に入った女、この…

『メメント』(ビデオ)

何年か前にNHK特集で“脳”についてのシリーズがあった。その時の一本で取り上げられていたと思うのだけれど、“短期記憶の障害(直前のことを記憶できないこと)”というのがあるそうだ。自分のことや子供の頃のことはしっかり記憶されているのに、さっき何をし…

『めまい』(ビデオ)

ヒッチコックの中で、僕がもっとも好きな作品が、この『めまい』と『北北西に進路をとれ』の二本。あらためてDVDをレンタルして見直したのですが、やっぱり実に面白い映画です。ヒッチコックといえばスリラーまたはミステリーという印象があるけれど、この作…

『私の犬まで愛してほしい』佐藤正午著(集英社文庫)

お気に入りの佐藤氏の作品。といってもこれはエッセイ。もちろん初めて読む小説以外の文章。 でもって、雰囲気はというと、小説とあんまり変らないカンジでした。小説と同じく、エッセイについてもそれほどたくさんあるわけではないようで、かなり長い期間に…

『カーヴァーズ・ダズン』レイモンド・カーヴァー著/村上春樹訳(中央公論社)

村上春樹さんは、僕にとっては特別な作家といってはばからないけれど、実は僕にとっては、レイモンド・カーヴァーという人の作品を読むのはこれが始めて。もちろん今まで気にはなっていたのだけれど、とにかく翻訳小説を読むということからすっかり遠ざかっ…