『女について』佐藤正午著(光文社文庫)

三冊続いてしまいました、佐藤正午さん。これは講談社で『恋売ります』というタイトルで発売されていたものの改題。
8つの短編が収録されている本ですが、いずれもちょっと軟派な(?)雰囲気のある、女性にまつわる物語。

プロフィールのページにも書いているけれど、僕の好きな作家の一人に吉行淳之介さんがいる。大学生の頃に突然夢中になって次から次へと著作を読んでいたのだけれど、この『女について』という短編集を読み終わって、なんだか昔たくさん読んだ吉行さんの小説のことを思い出したりした。この作品の軽さや雰囲気、ちょっとした洒落やオチなんかは、そういえば吉行さんの作品に似ているなあと思う。
ボクはあんまりお酒を飲まない人なので、居酒屋、スナック、バーといった類の店に行くことはほとんどない。というかまったくないと言った方がいいか・・・。というわけなので、この作品のようなそうした場面が多く出てくる小説などを読むと、フムフムなるほど・・・、と未知の世界をのぞくようでなかなか興味深かったりもする。