『眠れぬ夜を抱いて』野沢尚著(幻冬社文庫)

夏前まで、テレビ朝日でドラマをやっていた原作。日記にも書いたように記憶しているけれど、脚本家としてはけっこう以前から名前で見る人の一人。活動の幅がだんだん広がり、ジャンルとしてもこのところはすっかりミステリー系、そして小説家として名前が売れるようになった。

ドラマを先に見てから小説を読むと、頭の中にドラマで演じた俳優のイメージが出来上がっているので、ストーリーに入り込みやすい反面、小説独自の自分で作っていくイメージの広がりは極端に狭まる。この作品に関して言えば、ラストシーンの一部がドラマと異なる程度で、ほとんど忠実にドラマ化したものなので、特にそういう感覚を憶えた。やっぱりどちらかといえば、小説を読むほうを先行させたほうがよいということか。
ドラマを見ていない状態で、この本を読んだとしたらどんな感想をもっただろう。ちょっと自信はないのだが、10年前に殺された恋人のためにこれほどの執念を燃やすのかという部分で、ちょっと疑問は残るかな、と感じる。