『ふたたびの恋』野沢尚原作・脚本(PARCO劇場)

主人公の2人は、それぞれが脚本家。男のほうが先輩で、シナリオ教室の生徒として知り合ったのが女。これ以上はストーリーそのものと関わってくるので話すまい。その二人の共同作業で作り上げる脚本のストーリーと、2人自身の恋の物語がシンクロしていくという展開である。脚本のコンセプトとしては特に目新しい設定ではないだろうけれど、その展開のウマさと、演出の丁寧さで、とてもいい雰囲気の舞台だった。いわゆるウェルメイドなお芝居のお手本のようでもある。

登場人物は男が役所弘司、女は永作博美。そしてそこに舞台として設定されたバーのバーテンダーとして、国村隼。この3人だけで物語は進行する。そして3人がそれぞれ、本当によく持ち味を出している。
実はこの永作博美さんという女優さん。かなりファンなのであります。というより、“ribbon”というアイドルグループの一人として最初に見た頃から、“オッ、なんかいいなあ。”と思っていたくらいなので、役者としてのファンというより、よくもこういう具合に成長したなあ、と嬉しく思っているというのが、正直な気持ちである。

場面はほとんどがリゾートホテルのバーなのだけれど、このバーを設定にした目的の一つにはカクテルを小道具にするという仕掛けがある。そして国村隼演ずるバーテンダーが作るカクテルが、手つきも見事で、しかも実にまたウマそうなのである。酒好きの人でなくても、ちょっと嘗めたくなるくらいだから、好きな人にはたまらないものがあるだろう。

今週いっぱいの予定のようだが、当日券も出ているとのこと。“恋っていいなあ。”なんていう思いに浸りたいカップル、あるいは友達同士の観劇にはピッタリの内容ですので、おヒマが有る方にはおススメします。