『東電OL殺人事件』佐野眞一著(新潮社)

ようやく今日『東電OL症候群』佐野眞一著(新潮社)を購入。
この事件が起きたのが1997年のこと。なんとも言えない不思議な、というか心に引っ掛かる出来事で、それ以来ずっと気になっている。その後『東電OL殺人事件』を読んで、ますますその思いは深くなったと言っていいかもしれない。この本を読むと、事件を突き詰めて行けば行く程、殺されたOLの心の闇の奥底に取り込まれて行く感覚がして、恐ろしささえ覚えるほどだ。殺人事件としての謎以上に、彼女の行動の謎、その行動に駆り立てた心とは何だったのかという謎が深まるばかりなのだ。

先日読んだ、光文社新書怪文書』でも、冒頭にこの事件にまつわる“怪文書”のくだりがある。つまりさらにその背景にある不可思議な闇も見え隠れしてくる、まさに迷宮のような事件だ。
本人が既に亡き人になっている以上、心の闇については事実から推測することしか出来ない。ならばこそ出来るか限りの事実を知りたいのだ。彼女がどのような人間で、どのような生活をしていたのか。そしてどんな環境にあり、そのまわりの人間とどのようにコミュニケーションがあったのか。そしてどのように事件に関わり、命を落とすに至ったのか。
この続編でさらにそうした“なぜ?”に踏み込んで行くことができるのだろうか。