『パートタイマー・秋子』劇団青年座第167回公演(紀伊国屋ホール)

脚本永井愛というところで辿っていった観劇。紀伊国屋ホールは久しぶりだった。さすがに歴史のある劇団ということでなのだろうが、観客の年齢層は極めて高い。もちろん僕の年齢以下の人も多いが、自分の年齢を基準にしてもそれ以下より、確実にそれ以上の年代の人達が多い。そうした年代の人達が実に楽しそうに芝居を見ているというのもいいなあと思えた。

さて、内容はというと、まったく下世話なお話といってもよいだろう。とあるさえないスーパーマーケットのウラ側にあるドラマである。売上は、はかばかしくない。士気もモラルも最低。ヤル気も全然ない。そんなスーパーに一人の主婦がパートタイマーとして雇われる。ドロドロした人間関係の中で、逞しくその波に揉まれていく姿を中心に、さまざまな出来事が描かれていく。
舞台はそのうらぶれたスーパーの事務室。場面転換もない一幕物である。しかしながら話のテンポが良く、休憩15分を挟んだ約2時間があっという間に過ぎた。

ネタバレにならない程度に言うならば、休憩後の後半がある意味のどんでん返しだろう。どうにもならないような人間ばかりの中で、そこに居場所を見つけ生き始める姿は、その必ずしも立派とはいえない行動にその逞しさが表れてくるのだ。もっともらしい正義を振りかざすことなく、現実ってこんなものなのよ、とでも言うように清濁併せ呑む的なラストシーンが、いささか切なく物寂しくもある。