NODA・MAP『オイル』(シアター・コクーン)

NODA・MAP公演としては4年前の『パンドラの鐘』、翌年の『カノン』以来となるのだったかな。『パンドラの鐘』が、野田さんの芝居としては珍しく現代(現在)へのアプローチがあって、少々びっくりしたのだけれど、その後の『売り言葉』でも、エンディングには思わぬメッセージ性が込められているように感じていた。
そこでの今回の『オイル』なのだけれど、モチーフが明らかに9・11のテロであり、アフガニスタンでのことや、イラク戦争であることが感じられる。まあ、もちろんこの人らしい、ひとひねりもふたひねりもある展開ではあるけれど、メッセージはとてもはっきりした言葉で語られる。といっても、・・・だからこういうことなんだよね・・・、という部分の想いは、見た人さまざまだろう。はっきり言って、僕もそこの部分だけは捉えかねている。

日本とアメリカの関係は、たった60年ほど前に戦争をして、勝った国と負けた国という関係である。しかしながら、日本においてはアメリカという国に対して、とっても好意的で友好的な関係を築いてきた特殊な関係がある。逆に60年を経た今のほうが心情的にアメリカ嫌いという人が多いくらいではなかろうか。アメリカの占領から後、追いつけ追い越せの経済成長の時代には、その目指す目標はアメリカ的な自由であり、アメリカ的な豊かさであった。

そんな歴史を改めて思うと、アメリカという国への想い、日本人がアメリカという国について感じる、そういった“ヘン”な想いはどこから来たのだろう。この芝居は、そんなことを問い掛けてくる。

舞台表現とそのスピード感はもう圧倒的。あっという間の1時間50分でありました。
そうそう、観客の中にはセーラー服姿の女子高生らしき集団20〜30名ほどがいました。演劇部なんだろうなあ、この子たちは・・・。終わったあとで、このお芝居をどう見たのだろうか、聞いてみたいものだと思ったのでした。